昭和後期の東京都墨田区が舞台のホラーミステリーアドベンチャー。FILE23だけど新作。
ニンテンドーダイレクトで映像見て気になったので買った。
明日にでも第2弾がほしい。トレーラーを見て気になるならネタバレ踏まないうちに買ってほしい。なんとスマホでも買える!
スマホの脱出ゲームですら声出してびっくりするくらいのビビりでもそこまで怖くなかった。絶対こわいの来るってタイミングを裏切らないので覚悟はしやすい。
いわゆるジャンプスケアが少ないとはいえ、CEROがDなので相応のえげつない描写はあった。絵面でウワ……って場面はほぼなし。スマホでも出せてるし。
システムについて
2Dだけど自分を中心に360度見回して探索できるのが斬新。左右だけじゃなくて上下もぬるぬる見られるのが面白い。
これ振り向いたら絶対「いる」よ〜って一番ドキドキするところでそれが生きてたと思う。
システムも中断・再開しやすい ようになっていて、始めたからには絶対に詰ませないという意気込みを感じた。章をやり直すときに場面ごとにいくつか分かれてて快適。推理を間違えてもペナルティがない。セーブしてなくてもやり直しさせてくれる。序盤は3回くらい間違えるとヒントもくれる。
ストーリーもテンポ良く読み進めることを優先されている感じ。会話中には触れないけど大事だから後で読んでおけと委ねられる場面がちょこちょこあるので、資料を読むのが好きな人はもっと楽しい。
あとロードして再開した直後も前回のログが残っているのも好印象だった。
私はソシャゲの表現に慣れきってしまっているため、全身が写ってて状況に合わせて人が動き、表情がころころ変わり、口まで動くリッチさに驚いた。絵がすごく好みです。
ストーリーについて
ストーリーはホラーというよりは怪談が題材のミステリーが適切な印象だった。キャラが濃くて呪いの力で誰でも殺せるという厳しい状況にもかかわらず、会話がほどよくゆるくて楽しく読めた。
重大なネタバレを含みます。
案内人からいきなりネタバレされてもチュートリアル終了時の引きが強くて、ずっと続き読みたいって気持ちでプレイできた。
みんなで呪詛バトル!足を引っ張りあい!恐慌! みたいな感じになるのかなと思いきや、呪いをもたない協力者がそばにいて冷静に進めていくのが意外だった。
津詰・襟尾ペアの漫才みたいな会話で一気に引き込まれた。あの強面でピンチでもほとんど調子を崩さずに冗談言えちゃう津詰が好きです。
各主人公の解決すべき事件としては約子の話が好き。
生前に話を聞けたところで多分罪の意識はどうにもできないけど怨んで出る理由は分かる。美智代が最期に自分の言葉で思いを伝えられたのも霊夜祭のタイミングだったから可能だったわけで、悪いことばかりではなかったかも? と思えたのが大きいかな。親友のことを大事に思ってるのが伝わってきて泣けた。
あと、心霊現象に立ち向かうときはミヲの表情がキリッとするのすごくよかった。いつか名河越や心霊対策室がメインの刑事ドラマが見たい。
ただ一点、結末というか最後の謎解きのあと、盛り上がりに欠けてたのはちょっと寂しいものがあった。
呪いの解除と黒幕との対峙はもっと感情的に盛り上がるのを期待してたのに、黒幕の動機を資料で読む以外に知る術がないのが唯一不満かな。案内人の話きいて「そうなの〜!?」ってなってるのが私だけなのがちょっと寂しい。
システム上はどんでん返しでびっくりなんだけど、ネタバラシが最後の最後だったし、やっぱり結末が楽しみで作品を楽しんでいるから、物語のなかで登場人物たちがいかに折り合いをつけるかを楽しみたかったな~ってモヤモヤは残った。
でもあくまで私に与えられた役割は主人公じゃなくて運転手だったので、怨災に振り回される後世の人間たちを目的地に連れてさえ行ければ充分なんだろうね。やっぱり霊体だからか(?)やれることやったらさっさと退くというさっぱり感は新鮮ではあった。
案内人のねぎらいの言葉でプレイヤーの私は救われた感じがしたので、完全にスッキリとはいかないけど嫌いではない終わり方だった。
私は後ろ髪を引かれながら顛末を見届けたものの、この事件が起こらなくてもみんな真実にたどり着ける強さを持ってるから、仮にこの事件が起こらなくても問題は解決されるだろうと信じられたところはとてもよかった。
終わってみて、ことわりに逆らって怪異の力で殺されたり蘇ったりするのは良くないから蘇りの秘術があっても使いたくないな~と私は思った。人間の築いてきたものをかんたんに壊せてしまう行いだからかも。
とはいえ、呪いが復活しなくても事件前に起こった犯罪の数々は変わらないことに無力さを感じるのも確か。生きている人間のもつ力と問題点を同時に突きつけてくるビターな感じも好き。
メタフィクション要素が謎解き含めてかなり強かった点で好みが分かれそう。
作中でも呪いによる怪現象が起きまくっていたのですんなり受け入れられた。物語とプレイヤーのあいだに壁があることを利用して、作中にちゃんとプレイヤーの役割を用意するメタであれば私は結構好きかな。
読み終わった次の日、ああ終わったんだ……って寂しくなってしまった。
次回作も評判しだいでは意欲的みたいなので期待したいところ。
GW前に終わらせたいなと思っていたので、さくっと濃い時間をすごせて楽しかったです。