宮下奈都『太陽のパスタ、豆のスープ』感想

Twitterやソシャゲに当ててた時間でちまちま読んでたら5日で1冊読めてしまった。ショックが大きい。
同じペースで読めば1ヶ月で4,5冊は読めてしまうことになる

突然の婚約破棄を機に自分を見つめ直す話。その中心になるのがやりたいことをチラシの裏に書いたドリフターズ・リスト。やりたいことリストみたいなもの。

やさしくて前向きになれる話だった。
周りの人がやさしい。甘やかす優しさじゃなくて、いつか岸にたどり着けることを信じて待っててくれる優しさ。
叔母に勧められるままリストを作ってやりたいことをやるうちに、思ったのと違う! ってことにもたくさん出会うんだけど、やりたいことの裏側に自分が本当に大事にしたいものがあると気づいていく過程に、かなり感情移入してしまった。

私が手帳術やノート術が好きでいろいろ試してみてるだけに、主人公もリストを完全な拠り所にするのではなく使いどころを決めて、お守りがわりにしているところに成長を感じたのが印象的だった。
リストとして書き出すことに効果があるのは、頻繁に目に入れたり見直したりすることで、やりたいことがやれるように工夫できるようになるからで、リストを作り上げることそのものには大した意味はないっていうし。私自身はライフハックの手法にこだわりすぎるところがあるので身につまされた。

でも立ち直るときに大事なのは何よりやっぱり、客観的にじぶんとの差に気づける誰かの存在だよね。
おぼれているときに手を差し伸べられていたとして、それに気が付いてつかめるときにはもう前を向けている気がするよ。