『コーヒートーク』感想

GW期間中のクリア3本目。

異種族が共に暮らす世界で、夜だけ開店するカフェでお客さんたちの日常を垣間見るアドベンチャーゲーム。
プレイヤーことバリスタはひたすらお客さんの話に耳をかたむけて、注文どおりにあたたかい飲み物を出すだけ。ゲームとして難しいことは何ひとつないけど、注文する前の話をちゃんとくみ取らないといけなかったり、コーヒーや紅茶のレシピの知識が必要なのがまさにバリスタ体験だった。

劇的な何かが起こるわけではないので、寝る前とかにちまちま進めるのが一番おもしろかったかもしれない。まとめて読んじゃったのは少しもったいなかったな。

客の誰かにフォーカスせず開店から閉店までの時間区切りで、出来事が並行するのも日常感強め。
淹れてるときの音や店内に流している音楽も含めて、とにかくまったりしているので夜にぼんやり遊ぶにはもってこい。いつものことながら、私が気になるゲームはそういう系統が多いね。

お客さんはみんな小さな問題を抱えてこの店に来るんだけど、最終的に決めるのは本人で、それも主人公の決定的なアドバイスじゃなく、客同士の話のなかで進んでいくのも面白かった。常連ネットワークみたいなものへのあこがれが刺激される。
あそこまで私生活のこと話すの常連同士ならわからなくもないけど、聞いてても口挟むものかな。私のような陰キャには一生かかっても理解できないだろうな……。

異種族が同じように生活するためにどうしてるかって現実的な話がたまに出てくるのがとても好みだった。ネコミミ族が猫に変身して通勤するとか、種族間で時間感覚が違うとか。宇宙人が出てきてもちょっと面食らうくらいで、すぐ馴染んでコミュニケーションのやり方教えてるのとかまじ異世界。なじみの人狼が変身したまま店に飛び込んでくるよりよっぽど事件だよ。
端々に感じる未来感からこの世界がどうやって発展してきたか想像するのもまた楽しい。

オートの挙動が独特で、切り替えたときに次の会話まで進む慣性があったり、ログ確認してる時にオートそのままにしてるとそのまま流れたりする。
ゲーム的にはなかなか不便だけど、リアルの会話が常に止まらずに流れていくことを思うと、わざとそうしてるのかもしれない。

とりあえずの終わり方も、みんながみんないい方向に進めるわけではないのがまたビターですてき。
飲み物は注文を無視しても自由に出せるから、正しく(または全無視で)サーブできれば展開が変わったりするのかな。
1周目終えて、同時に「まだあなたは一部の物語しか見てない」なんて言われたら流れるように2周目始めちゃうよ~


というわけで、最後の諸々や正しいレシピを考えながらのんびりもう1周楽しもうと思います。